IAPH 国際港湾協会

IAPH近況 | 総会報告 | 専門委員会 | 日本セミナー報告 | 出版と広報



国際港湾協会の最近の活動
[2010年4月〜2011年7月]

国際港湾協会 事務総長 成瀬進

1. IAPHブサン総会

二年に一度開催されるIAPHの「World Ports Conference」が韓国ブサンで5月23日〜27日に開催されました。世界約50カ国から約700人の港湾関係者が集まり盛大な会議となりました。日本からも50名を超える方々の参加がありました。この場をお借りして参加頂いた皆様への感謝の意を表したいと思います。

@技術委員会
23日にはIAPHの8つの技術委員会が開催され、前回のジェノバ総会からの活動成果が討議されたほか、今後二年間の活動計画が議論され決定されました。わかりやすい成果としては、「気球温暖化に対応した港湾の適応マニュアル」、「Port Community Systemに関する報告書」、「港湾の水質環境に関する報告書」などがあります。また、今年1月から運用が開始されたEIS(Environmental Ship Index)の運用状況についての報告などがありました。また、今後の活動計画には「LNG燃料船に対応する港湾計画手法」など目新しいものも含まれています。

また、すべての技術委員会の終了後、内部委員会の一つである「IAPH長期計画委員会」が5年ぶりに開催されました。IAPHを今後どのような方向に導き、そのためにIAPHをどのように運営していくかを議論するが主なテーマでしたが、フリーな議論の結果タスクフォースの設置とメンバーを決定し、新しいMission Statement等の原案の草稿を行うこととなりました。この委員会は12月にアントワープで開催されるIAPHアフリカ・ヨーロッパ地域会議に合わせて再度開催されることとなっています。



A総会前理事会
24日に総会前理事会を開催しました。ここでは、会長、副会長の人事、2010年の決算及び2011・2012年の予算など重要な案件について審議し了解を得て後日予定の全体会議で議決をいただくこととなりました。また、次回のロスアンジェルス総会に続く2015年の総会をドイツのハンブルグで開催することを決定しました。

B開会式とWorking Session
理事会に引き続き、総会の開会式が行われました。ブサン港湾庁のRoh総裁、IAPH会長のNdua氏の挨拶やブサン市市長、韓国国土交通水産大臣の祝辞などがあったほか、日本から国土交通省港湾局の山縣参事官が登壇し日本の震災に対する各国からの支援に対する感謝の言葉を述べました。さらに、基調演説として、PIANCのEric Van den Eede会長と韓国海洋大学のKeo-Don Oh学長がスピーチを行いました。その後、Working Sessionとして4テーマについて2日間にわたり講演と討議が行われました。4つのテーマは「経済危機の後のグローバリゼーション」、「環境と世界の港湾」、「ロジスティックスとコミュニティシステム」、「都市と港湾」で、いずれも現在世界の港湾が現在直面している課題を取り上げています。講演は30編近くに及ぶため、個々の講演の内容には触れませんが(IAPHのホームページにプレゼンテーション資料のすべてが掲載されています。また、9月末に開催されるIAPHセミナーでも詳しく発表される予定です)、日本からは東京大学の磯辺教授が「地球温暖化に対応した海岸保全施設の計画手法」、また、独立行政法人港湾空港技術研究所の藤田理事長代行が「北東日本における津波とその被害」と題して講演を行いました。

CIAPH総会
26日午後まで続いたWorking Sessionの終了後IAPHの最高意思決定機関である総会が開催されました。事前の理事会で了解を取り付けた人事と決算・予算が全会一致で了承されました。この結果、2年後のロスアンジェルス総会までを任期として、会長にロスアンジェルスのKnatz氏、副会長にシドニーのGilfillan氏、バルセロナのMila氏、マイアミのJohnson氏の各氏が就任することが正式に決定しました。

また、総会に合わせてIAPHが主催する2つのエッセイコンテスト(Akiyama Award、Busan OpenAward)及びITコンテストの表彰式も行われました。それぞれナイジェリア港湾局のJegede氏、ネルソン港湾局(ニュージーランド)のMacDonald氏、バルセロナ港が受賞しましたが、ここ数年日本からの応募が皆無なのは寂しい限りです。

この総会ではIAPHの主張を表明する決議文(resolutions)を6つ採択しました。「サプライチェーンにおけるコンテナの安全」は荷主にコンテナ重量等の適切な申告を呼びかけるものです。「港湾インフラストラクチャーの開発」は経済危機から脱した港湾需要に対応するインフラ整備を各国政府や港湾管理者に呼びかけるものです。「WPCIのESIに関する決議」は運用の始まったESIへの参加を船会社や港湾管理者などに呼びかけるものです。「Piracyに関する決議」はPiracy行為による影響が船員や船会社のみならず周辺の港湾にまで及んでいることにかんがみ、各国政府に海賊行為への断固たる措置をとることを要請するものです。「東日本の震災被害に関する決議」は被災者への哀悼の意を表明するとともにIAPHが開設したTsunami Relief Fundへの募金を募る内容です。すでに、IAPH本部からの1万ドルを含め、世界の港湾から3万ドルを超える募金が集まっています。さらに、恒例となっている主催港ブサン港湾公社に対する感謝の決議文も採択しています。
最後に、会長職を去るNdua氏と新しく会長に就任したKnatz氏がそれぞれ挨拶を行い、総会が終了しました。

D総会後理事会
新しい執行部による正式な初会合として、総会後理事会が開催されました。ここでは、技術委員会の今後2年間の活動計画が各委員長より報告され議論されました。また、より効率的な委員会運営を目指して、Human Resources Development CommitteeとCommunication and Community Relations Committeeを統合することが合意さ れました。さらに、来年イスラエルで予定されている中間年港湾 会議のWorking Sessionのテーマについても活発な議論がなされました。  最後に、Knatz新会長より今後二年間の運営方針として、「IAPHの対外的な知名度を高め、IAPHの存在基盤を確固たるものにすること」が最重要課題として強調され、このための方策として高頻度にプレスリリースを行うこと及びホームページでのFacebookの活用等が挙げられました。


2. 本部の活動状況

この2,3ヶ月は総会に向けての準備と終了後の取りまとめに追われてきたように感じています。総会関係のプレゼンテーション資料や議事録等は、既にすべてホームページに掲載されていますが、ブサン港湾公社は現在総会のすべてをまとめたProceedingsを作成しているところです。完成次第デジタル版はホームページに掲載されますが、同時に印刷する予定ともなっており完成次第総会参加者あて配布される予定です。 常任理事の選挙が進行中です。これは、各所属機関からの退職や転職に伴う欠員(現在6名 の欠員が生じている)を埋めるものです。各国の理事及び理事代理から立候補者を募り、候補者が多数の場合は3地域ごとに理事による投票を実施し決定します。選挙結果は8月中には確定する予定で、結果が確定し次第ホームページに掲載する予定です。

(写真提供:Busan Port Authority)