機関誌「Ports and Harbors」<年6号発刊>
第24回国際港湾協会総会議事録<2005.5 上海会議>
第23回国際港湾協会総会議事録<2003.5 ダーバン会議>
港湾計画と設計のためのガイドライン
IAPH近況 | 総会報告 | 専門委員会 | 日本セミナー報告 | 出版と広報
<2008年11月〜2009年3月>
ジェノバ総会の準備
1. ジェノバ総会の概要
第26回IAPH総会への参加登録は、世界の同時経済不況にもかかわらず順調に進んでいる。また講演者の確定を含めプログラムの細部の検討が佳境に入っている。今回は現下の経済状況を踏まえた議論と中長期的な課題をめぐる議論が大きな焦点となる。つまり、港湾の開発や経営を深刻化する経済不況の中でどのように取り組むべきかという焦眉の急となっている議論を、各地域を代表する主要港湾のトップを交えて展開する。と同時に、中長期的な課題として地球温暖化対策や高度情報化に港湾としてどう取り組むべきかという議論が、大変に参加者の関心を集めるものと思われる。
また、開会式にはイタリア運輸大臣及びEU運輸担当代表を招き、同国及びヨーロッパの運輸政策と港湾の役割について講演を予定している。さらに、記念講演として、IPCC気候変動政府間パネルの第3ワーキンググループ委員長Davidson教授を招き、地球温暖化の見通しと影響、それへの対応策について、最新の成果をもとに話して頂くこととしている。
総会プログラム概要
| 午前 | 午後 | 夜 | |
|---|---|---|---|
| 5月25日(月) | 専門委員会 | 専門委員会 | 歓迎レセプション |
| 5月26日(火) | 開会式、理事会 | セッションI | |
| 5月27日(水) | セッションII/III | セッションIV | 釜山ナイト |
| 5月28日(木) | セッションV | 総会、閉会式、理事会 | 晩餐会 |
| 5月29日(金) | 港湾視察 |
セッションI: グローバル化時代の挑戦
(1) グローバル化と世界経済
(2)地球温暖化への対応
セッションII: 港湾経営と戦略
(1) 港湾管理者にとっての挑戦
(2)資金調達とコンセッション
セッションIII: セキュリティ、安全、環境保全
(1) 港湾とサプライチェーン・セキュリティ
(2)環境、安全、海洋保全
セッションIV: グローバル・ロジスティクスと港湾
(1) ロジスティクス・チェーンと港湾
(2)ロジスティクス・ハブとしての港湾
セッションV: 港湾の革新的、調和ある将来
(1) 革新的な港湾サービスの高度化
(2)旧港地帯の都市的再生
2. IAPH財団による参加ツアー
恒例となっている(財)国際港湾協会協力財団の企画による日本からの参加ツアーの
募集が本年1月から開始された。総会参加のための直行直帰ツアーと総会後にイタリア視察を織り込んだツアーがそれぞれ用意されているので、積極的な参加をお願いしたい。
また、ホテルの予約も同時に開始された。中世の街並 みを今に残すジェノバはホテルの数は多いもののその規模が総じて小さく、さらに今回の総会開催が本格的な観光シーズンの幕開けに近いため開催者が確保した部屋数に限りがある。財団ツアーではホテルがすでに確保された旅行となっているが、別途、個人で申し込まれる場合には総会ホームページを参照されたい。例年以上に早期のホテル手配が求められる。
アジア/オセアニア地域会議
3月25日から27日まで、シンガポール海事港湾庁の協力を得て、第9回IAPHアジア/オセアニア地域会議がシンガポールで開催された。15カ国からIAPH会員約70名が参加し大変な盛会であった。併せて行われた港湾フォーラムには地元港湾関係者約100名も加わり活発な発表と討議がなされた。
フォーラムでは、港湾及びサプライチェーンのセキュリティ対策を巡ってシンガポール税関の新たなAEOシステム導入やマラッカ海峡のセキュリティ強化などが取り上げられた。また同地域の新たな港湾開発セッションでは、中国、韓国、シンガポールの港湾開発の現状と計画がそれぞれ発表された。最後のセッションでは港湾と環境対策について、シンガポール港における珊瑚の保全、環境に配慮した浚渫計画と実施、IAPHのWPCI活動の進捗状況など興味深い発表が行われた。
世界港湾気候イニシアティブ(WPCI)
すでに報告したように、昨年2008年7月には世界港湾気候会議(WPCC)がロッテルダムで開催された。その最終日にはロッテルダム宣言が採択されるとともに、その実現に向けて、世界の港湾の温暖化対策への取り組みを国際港湾協会(IAPH)が中心となって推進することが決議された。
これをうけて、同年11月に、IAPH港湾環境委員長であるロスアンゼルス港のGeraldine Knatz局長の提案により、同市でその具体策を検討する特別セミナーを開催するとともに、「世界港湾気候イニシアティブ(World
Ports Climate Initiative: WPCI)」を立ち上げることを正式に決定した。
セミナーでは、世界の港湾の中でも先進的に取り組んでいる具体の事例がまず紹介された。地元ロスアンゼルス港や米国からロングビーチ港、ニューヨーク・ニュージャージ港、シアトル港、サンディエゴ港、ヒューストン港、さらに欧州からロッテルダム港、ゲーテブルグ港などから、担当者による詳しい報告がなされた。現段階では、多くがSOx、NOx、PMと云った大気汚染防止へのプログラムが中心であるが、これに併せてすでにCO2削減に取り組んでいることが確認された。
ついで、WPCIの設立と運営について討議がなされ、正式な発足が決定した。WPCIは、IAPH会員に限らず広く世界の港湾さらに関心をもつすべての企業、団体に開かれた組織とすること。その目的は、港湾の温暖化対策及び大気汚染防止対策への関心を高め、これら防止手段に関する研究や開発を推進し、関係する情報や経験を共有すること。この国際的なプラットフォームとしてのWPCIの会長にはIAPH港湾環境委員長が就任し、事務局にはIAPH欧州事務所代表が当たることとした。
当面の以下のプロジェクトに、それぞれ小グループを設置して取り組んでいる。ただ日本からの参加がまったく見られないのが、残念である。
(1) CO2排出量の把握手法(Carbon Footprint Inventory)
(2) CO2対策手法の経済分析(Cost Benefit Analysis)
(3) IAPH大気汚染対策 第2版(IAPH Tool Box Ver.2)
(4) 船舶環境指標(Environmental Ship Index)
(5) 低排ガス型ヤード機器(Hybrid Yard Hostler)
(6) 陸電供給システム(Onshore Power Supply)
(7) ターミナル貸付契約とCO2削減(Sustainability in Lease Contract)
また、WPCIの総合的なWebsiteを現在ロスアンゼルス港の支援により開発中であり、間もなくIAPHのサイトに現在あるWPCIセクションを抜本的に更新する。日本の港湾関係者が積極的にWPCI活動に参画し、日本の港湾の温暖化対策、大気汚染対策の推進に役立ててもらうとともに、世界に向けて日本の取り組みや技術を発信し、世界の港湾の地球温暖化対策と大気汚染対策の前進に貢献して頂きたい。
UNCTAD専門家会議
国連の貿易開発委員会(United Nations Conference on Trade and Development: UNCTAD)は、2009年2月に「海運輸送と地球温暖化の挑戦」に関する専門家会議を本部のあるジュネーブで開催した。IAPHは港湾部門を代表する専門機関として事務総長が招待され講演をおこなった。この会議にはEUを含む60数か国からの政府代表及びUNFCCC、IMO、WMOさらにICS、Intertankoなど約20の国際団体など合せて総勢約180名の専門家が参加した。
3日間(2月16日から18日)にわたる会議は極めて密度の高いもので、各分野にまたがる最新の情報を専門家が持ち寄り、地球温暖化への対応の重要性を再認識するとともに、海運関係者が取り組むべき多くの重要な事項が浮き彫りになり、有意義なものであった。その一方、専門家会議でありながら、欧州、日本を含む先進国や中国、インドを含む途上国から政府代表が参加したため、京都議定書に採択されたCBDR(Common but Differentiated Responsibilities)ルールをめぐる主張が繰り返される場面も少なくなく、図らずも温暖化対策に関するポスト京都の枠組み作りの難しさを呈示した格好となった。
会議では、国際海運輸送から排出されるCO2とその規制に関する見通し、温暖化が海運や港湾に及ぼす影響、海運や港湾のCO2削減対策(Mitigation)、海運や港湾の適応策(Adaptation)、対策の費用と財源確保の方策を中心に議論が進められた。 とくに、海運界としては、(CBDRという政治的な要素とともに)国境を越えて活動することに伴う技術的な難しさはあるものの、何らかの市場ベースの規制策を導入することは不可避との判断である。上限を設けるキャップ制の採用とCO2取引、燃料や輸送量に対する課税制度などの案が紹介された。
IAPHが中心となり、港湾界が現在進めている温室効果ガスの削減(Mitigation)への取り組みについては、改めて海運関係者のみならず各国政府代表にも理解を深める絶好の機会となった。しかし、同時に温暖化がもたらす港湾やロジスティクス・システムへの影響とそれに対する適応策(Adaptation)への関心が集中した。海面上昇、温度上昇、さらに異常気象の多発化など極めて多岐にわたる影響が予測され、その十分な対応の重要性が強調された。米国運輸省が南部のガルフ沿岸地域について実施した調査研究が報告され、参加者の懸念を一層強めることとなった。とくに途上国の代表からは、異常気象への対応に関する知見や経験の不足を補う先進国からの技術協力、そして多額の資金を要する対策事業への資金協力について、要請する発言が相次ぎ、専門家会議としてUNCTADや関係国へ進言することとなった。